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敢えて血を吐いてみましょう。
2013-07-19 10:24:30

 幻の、改訂前(連載開始当時)の第0話です。
 ええ、本当に載せていたんです……。

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 暖かな日差しが降り注ぐ室内。

 長身の男性二人分はあるだろうか、高く白い天井には染みひとつなく。
 南の壁には大きなガラス窓。 掃除は細かい所まで行き届いており、埃や指紋は一切見当たらない。
 僅かに開けられた隙間からは暖かな風が入り、白く薄いカーテンをゆらゆらと揺らす。
 窓の側に生える木の瑞々しい青葉や微風に揺れるカーテンが、窓ガラスを通る午後の陽気を時折遮る。
 すると、白い壁やベージュ色の毛深い絨毯の上に複雑な模様の陰影を描いて、まるで光と影の妖精達が楽しげに歌い踊っているかのようだ。
 室内には本棚や大小様々なぬいぐるみ、ソファー等があるが、それでも全く窮屈さを感じない程広い。
 そんな部屋の中央には、通常の倍はあろうかという広さの特注のベビーベッド。

 柔らかく白いシーツの上で、二人の赤ん坊が仲良く並んで寝ていた。
 殆ど同じ大きさの、顔立ちもよく似た赤ん坊が、とても可愛らしい笑顔を浮かべている。

 整った目鼻は将来の美しい成長を期待できるだろう。
 非常によく似た二人だが、髪と瞳の色は異なる。

 金の髪に蒼い瞳と、銀の髪に|翠《みどり》の瞳。

 金の髪の赤ん坊が銀の髪の子の手を取って、きゃっきゃと笑っている。
 銀の髪の子は、大人しく手を取られたまま静かに笑みを浮かべている。



「お坊ちゃま、お嬢様、失礼致します……あら♪」

 静かに部屋のドアを開けて入ってきた若い女性―― カチューシャに紺色のエプロンドレスから使用人と思われる―― は、その光景を見ると同時にふにゃりと頬を緩ませた。

「ふふふ……お坊ちゃまたら、もう立派なお兄様になられて。
 お嬢様も、とても嬉しそうにされて。
 折角の兄妹水入らず、お起こししてはいけませんね……また後ほど伺いましょう」


 再び音もなく閉めたドアの向こうからは、微かに赤ちゃんの笑い声が聞こえていた。



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『も、もももももも萌えーーーーーーーーーーーーっっ!!!!!
 うはっ、テラカワユスwww』


 名のある画家に描かせれば『天使達の|微睡《まどろ》み』とでも題名が付き、後の世まで残るのではないか――
 そんな光景を、声なき声に生い茂るボーボーの草で台無しにしたのは。


『うっひょーー、手の平もぷにぷっにだわ。 ……クセになりそう、マジで!!』



 大人しく笑っているはずの、銀髪の赤ん坊――――本人だったりする。





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 ……ぐふっ。(吐血)